日別アーカイブ: 2010/11/19

uguisuが出来るまで 第3話 「不動産巡りpart1」

さて高校生の頃からカフェもしくは喫茶店をやりたいと考えていた僕は、随分遠回りをしながらも17年経った35歳の時にuguisuオープンにようやくこぎつける事が出来ました。 その17年間の間には、大学に通いながらカフェやパスタ屋、割烹料理の店でアルバイトをしていた時期もあれば、「俺はバンドで成功するんだ」と勘違いをしていた時期もあります。(爆) 海外と国内の飲食店で修業の時代もありました。 随分遠回りをした感がありますが、その遠回りがあったからこそ現在のuguisuのスタイルの店が出来たのだと確信しています。 その紆余曲折があった17年間余りの間に、何度か父親に「お店を開きたいから、資金を援助して欲しい」と相談した事がありました。その度に僕が父親から言われた言葉があります。 それは「お前の考えは計画とは呼べない。それはただの夢だ。」でした。 今振り返れば、当時の僕はただ茫然とお店をやりたいと考えていた感があります。もしその時父親が、ポンと僕にお金を渡して「これでお前の夢をかなえてみなさい。」とでも言っていたら、どうなっていたでしょうか? 実際より10年近くも前に、自分の店を持つ事が出来ていたかもしれませんが、恐らく2年と持たずに僕はそのお店を潰してしまっていたかと思います。なぜなら当時の僕は、やる気だけはあったかも知れませんが、実際の飲食業の現場での経験と、その経験により生まれる引き出しが、今の僕より圧倒的に少なかったからです。   話が逸れてしましましたが、実際に店を一軒立ち上げるためには、父が言う様に「夢」ではなく、本気で明確な「計画」を立てる必要があった訳です。 僕の「計画」の上でネックになっていたのは、やはり資金がたったの300万円しかないという事でした。 予算300万円という数字が、一般的に考えれば圧倒的に資金不足だというのは、さすがに文系ひらめきタイプの僕でも気づいていました。 保証金や敷金礼金、造作譲渡費用等、不動産契約時にかかる費用。 照明やカウンター、テーブルや椅子、小物等、内装にかかる費用。 ガス台やオーヴン、レンジ、ミキサーや冷蔵庫等、厨房設備にかかる費用 お皿やカトラリー、グラス等、食器類にかかる費用。 オープン時に必要な食材や酒類。 その他、雑費。 ざっと挙げただけでも、これだけある必要な物を300万円で賄うという事は容易な事ではありません。切りつめられる部分はとことん切り詰めなければ、300万円でお店を出店するのは到底無理な話です。 そこで僕は「不動産に支払う金額は100万円以内」そして、「居抜物件を探す」という枠を決めました。 「居抜き物件」というのは、前の方が営業されていた際に使用していた設備や内装を片付けずに、次に借りる人が引き継ぐもしくは処分するという形の契約です。 厨房をゼロから作り、新たにダクトを付けたり、排水溝を付けたり、ガス管を引いたりしていたら、それだけであっという間に300万円を使い果たしてしまいます。 ならば「居抜物件」を探して、物件に残っている設備をそのまま使うしか方法はないと思ったのです。 現在、飲食店用の賃貸物件の殆どが「スケルトン」という状態で出回っています。それは借主と貸主間のトラブルを避けるために、一度物件を「スケルトン(まっさらの状態)」に戻してしまうというのが、今の不動産業界の常識だからです。 ただ、僅かですが前借主が借りていた状況をそのまま残して貸しだす「居抜物件」というのが稀に出てくるのです。勿論居抜物件に残された設備は、自分の思い通りの設備ではない場合がほとんどかも知れません。でも自分の使える資金が300万円しかないのであれば、贅沢は言っていられません。 100万円以内で居抜物件を見つけ、それをいじってなんとか自分の理想形に近づける。そのアプローチで行こうと決めたのです。   そうして僕の不動産屋巡りが始まりました。

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