「uguisuが出来るまで」 第1話:初期投資250万円


 

飲食業って華やかな部分より、むしろその殆どが滋味な作業で、しかも体力を使う事が多い。

延々と魚の小骨を抜いていたり、ひたすら皿を洗い続けていたり。。労働時間も12時間以上、休憩もろくに取らず立ちっぱなしでの労働は当たり前の世界。

それでもやっぱりこの仕事って凄く面白くて、そしてとてもやりがいがある職業だと僕は思っています。

そんな飲食業の世界に身を置き、その中で一つの目標としていた「自分の店を持つ」という事が形に出来たのが5年前。それから5年間、本当に多くの方々に助けられ、どうにかuguisuを継続してこれたのは、とてもとても幸運な事だと感じています。

「uguisuが出来るまで」では、どのようにuguisuというお店が始まって、そしてどのように変化をしながら現在のスタイルになったのかを、少しづつ書いてみたいと思います。

これから飲食店を始めようと思われている方。uguisuで今一緒に働いている仲間達。飲食業に携わっていて日々精進を重ねている方々。

僕自身もわからない事ばかりで、毎日勉強させていただいている身分ですが、こんな感じで始めたお店もあるんだと、少しでも参考になればと思います。

 

「uguisuが出来るまで」 / 初期投資250万円

 

uguisuというお店はご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、僅か250万円で立ち上げたお店です。

不動産屋さんに支払った保証金、敷金礼金等、契約時にかかった費用が約100万円。

厨房設備及び内装外装に約100万円、オープン日までに必要なワインやら食材で約50万円。

ざっくりとですが、こんな感じで始めました。

最近では勝手が違うのかもしれませんが、僕がレストランで修業をしていた時代には「店を立ち上げるには最低1000万円は必要だよ。」とよく先輩方から言われてきました。

1000万円というマジックナンバーが、どこから出てきた数字なのかはわかりませんが、ろくに貯金もしていなかった僕には、1000万円なんていう大金の持ち合わせは当然ありませんでした。

かと言って僕に投資してくれる様なパトロンもいない。

でもどうにかして自分のお店を始めてみたい。

スズメの涙程度の貯金と、両親から借りたお金を合わせて計300万円。

それが僕の用意出来る金額でした。

だから僕は予算300万円で店を立ち上げてみる事にしました。

「300万円の新車を一台買う様なもんだ」当時の僕は自分にそう言い聞かせていました。

従業員を雇うような金銭的余裕もないから自分一人で始める事にしました。

それならたとえ売上がたたなくても、僕の収入がないだけで済む。

「もしuguisuがうまく行かなかったら、新車がすぐに事故で廃車になってしまったと思う事にしよう。」

「そうしたら、また一従業員としてどこかのレストランで働いて、車のローンを返せばいいじゃないか。」

先輩方の言う1000万円という額は手に余るけれど、車一台分程度の額と思えば、万が一失敗してもなんとかなるんじゃないかって。

そう思えば、なんだか踏み切れる気がしたからです。

なのでお店を立ち上げる際には、とにかくお金はかけない様に工夫しました。

結果的に予算より50万円安い、250万円でお店をスタートする事が出来ました。

 

 

僕は最初から理想の土地、理想の道具、理想の内装、理想の食材を揃える必要はないんじゃないかと思っています。

勿論、ここだけはゆずれないという部分は必要だと思いますが、最初はなるべく少ない投資で始めた方が絶対にリスクが少ないと思います。

きっと有名な映画監督だって、最初のデビュー作は低予算、しかも色々な制限が付きまとう中で、工夫をして映画を撮っていたに違いない。

あのスピルバーグだって、処女監督作品の「激突」では少ない予算で素晴らしい映画を作っているじゃないですか。

理想を追い求め始めたらきっとキリがない。 最初から自分の身の丈以上にお金をかけて店作りをするのではなく、自分に与えられた条件の中で、出来る限り自分の思う理想形に近づける店造りの方が、最初のスタートとしてはいいんじゃないかというのが僕の考えです。

僕の場合には、その与えられた条件というのが予算300万円だった訳です。

to be continued

 

 

 

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